積まれた本

ネット小説名作レビュー

埼玉にはなぜ魅力がない? by 榊原 隼人

あらすじ

 都道府県魅力度ランキングで埼玉県は44位だった。いくら何でも順位が低すぎる。生粋の埼玉県民である著者は、それを見かねて埼玉を称える文章を書こうとした。でも、やっぱり無理だと思って割とあっさり諦め、代わりに埼玉に魅力がない理由を考えることにした。
 「ダ埼玉」の流行語、観光地の偏り、東京との関係、朝ドラの失敗などの観点から、割と地元愛の強い著者が、埼玉県に人気が出ない原因を解明する。

ローカる埼玉 〜埼玉県民も知らない!? 知って得しない埼玉の初耳学〜 by 榊原 隼人

あらすじ

 埼玉県の日本一や、ひらがなの県庁所在地が生まれたいきさつ、矛盾した特産品のブランド名の秘密など、「知って得しない」けどおもしろい埼玉県の無駄知識を、埼玉で生まれ育ち、「割と地元愛が強い」著者が詳しく紹介する、読みごたえ抜群のエッセイ。

マッハ姉さん by こてさきのてばさき

あらすじ

 西日に燃える髪をなびかせ、際どくまくれたスカートの裾を見せつけて、マッハ姉さんは自転車をこぐ。その速度は尋常ではなく、自動車すら追い抜きかねないように感じられた。そのスピードとスカートの裾に魅せられた男子小学生たちは、超速い女子高生、マッハ姉さんの走行を止めることをもくろむ。

牛男 by 根木 珠

あらすじ

 人から「牛」と呼ばれ、せむしで乞食という不幸な境遇に育った男は、ある時親切な紳士に拾われて彼の屋敷で暮らすようになる。牛は主人を敬愛し屋敷でかいがいしく働くが、やがて、屋敷を訪れた女性を自分の主人が次々に殺していることを知る。

青に染まる by あおいはる

あらすじ

 まよなか、ぼくは青い夢を見る。青い絵の具を溶かした水の中にいて、となりにいる人はがぶがぶお酒をのみ、何かをさけび、うめいている。ぼくは、青い海の底で、青いワンピースをきた女の子と、青いソーダをのんで、ブルーハワイ味のかき氷を、たべている。青に染まる
(一部を作品より引用)

さよなら、カクヨム by 足羽川永都(エイト)

あらすじ

 おもしろい物語を創り出す人々の住まう楽園「カクヨム」。自分もその楽園の住人になれると思って小説を書いていた著者は、それが長い、残酷な夢であったことに気づく。書いた作品が人気になってはじめは嬉しかったのに、実力に見合わない評価を与えられることはやがて苦痛でしかなくなった。作品を削除したい気持ちが著者の胸に湧き上がる。

バニーガールと透明 by 野足夏南

あらすじ

 文化祭のお化け屋敷で透明人間の役を割り当てられた地味な男子中学生、野宮慎一は、同級生の片桐日奈子が好きだが度胸がなくて行動を起こせずにいる。ある帰りしなにバニーガールの恰好をしたデリヘル嬢に出会った慎一は、お金を盗んで逃げる途中だった彼女に巻き込まれてそばの神社までやって来た。そこで彼は、近所の屋敷で得意客の葬式があるから香典を渡して来てほしいと、バニーガールに頼まれる。

私のガードレール by rimo

あらすじ

 子供の頃、学校から帰って来ると、毎日祖父が家の前のガードレールに腰かけて私の帰りを待っていた。本当は祖父が大好きなのに、私はそれを人に見られるのが恥ずかしくて、クラスメートが通りかかると祖父を無視して家へ飛び込んだ。祖父は寂しそうな顔をした。
 私が中学2年生の時に祖父は急逝した。この頃会話が減っているから話しかけようと思っていた矢先のことだった。いつものガードレールにもう祖父の姿はない。

日辻芽太の快適羊生活! by 沢丸 和希

あらすじ

 天然パーマがチャームポイントの高校生、日辻芽太が目を覚ますとなぜか見知らぬ世界にいて、しかも羊になっていた。運よくモファット王国の美姫ミルギレッドに飼われることになった芽太は、毎日みんなにちやほやされる羊生活をエンジョイしていたが、ある日飼い主の危機を知り、彼女を害さんとする悪人の野望を阻むため、身を挺してミルドレッドの救出に向かう。

うまれる by あおいはる

あらすじ

 両親を失って叔母さんのアトリエで暮らすぼくは、写真とモササウルスが大好きだ。これまでぼくは4人のぼくを別にうみ出してきた。ギャンブルにはまったり、女の世話になりつつ小説を書いたり、鉄工所に勤めたり、自由なフリーター生活を送ったり、していることは様々だ。今、ぼくの一部を吸収して、新たなぼくがもう1人うまれようとしている。モササウルスや写真への熱は吸いとらないでほしい。ほんとはもう、うむのは嫌だった。

New World! 大阪のオバチャンが魔王になって、魔族の国家に<新世界>を作る話 by 森田季節

あらすじ

 魔王の26番目の子供である美貌の王女ユーフィリアには、前世の記憶によって特殊な方言を話すくせがあった。強大な力を持つために「オサカーの虎」と呼ばれ、親しみやすい人柄から多くの人望も集めていた彼女は、先代魔王の死後に勃発した戦争を制して新しい魔王となる。やはり前世の記憶を引きずるユーフィリアは、荒廃した王都を復興し、笑いのたえない街を創り上げる「新世界」計画を立ち上げた。

みにくい羊 by 緋みつ

あらすじ

 あたたかな暗闇の中で、死にたどり着くために、私は羊の数を数える。しかし私の代わりに、柵を乗り越えられない羊たちが真っ黒な血を流して死んでいく。百数えてはふり出しに戻り、また百数えては最初に戻る私に、薄汚れた羊たちが「はやくねむれ」と催促する。

by euReka

あらすじ

 この街に立つ、直径1km、高さ10kmの巨大な塔は今にも倒れそうなぐらい傾き、地面へ向かって弓形になっているので「巨人の釣り竿」とも呼ばれる。塔が倒れた時に下敷になるエリアは住むのに好まれず、以前は貧民街になっていたが、戦後の経済成長によって街が豊かになると住人が減り、その後公園として整備された。塔を眺める観光地となった公園で、私はアイスクリームを売り、隣の屋台の女はビールを商っている。