積まれた本

ネット小説名作レビュー

月別: 2016年11月

(8件)

私の白いディオニュソス by 吉岡 幸一

あらすじ

 来館者の少ない山の上の美術館で、私はボランティアの監視員をしている。はじめは物音もしない部屋にじっと坐っているのがつらかったが、そのうち展示室の静かな時間を愛するようになった。しかしある時、学生風の白い青年が現れて私の幸福をかき乱す。彼は何日も美術館に通って絵ではなく私のことをじろじろと見つめ、ついにはほおにふれようと手を伸ばして来た。

ひやかす by 駅員3

あらすじ

「ひやかす」という言葉は、江戸のリサイクル業社が再生紙の材料にする古紙を水で「ひやかし」ている間に、吉原の遊女をからかいに行ったところから生まれたらしい。この職人たちが作っていたのは江戸時代のトイレットペーパーであり、浅草紙と呼ばれたその紙は浅草のりの名前と関係があるとも言われる。

未来のキラキラネーム事情はこうなる by 星井七億

あらすじ

 2085年。日本の命名文化は従来とは大きく変わり、かつてキラキラネームと呼ばれた、むちゃくちゃな名前が主流になる。伝統的な価値観を持つナースの優子は「田中ポチ夫」や「渡辺爆殺天命銀翼竜伝説太郎」などわけの分からない名前の患者が多いのにまいっていた。

へこんだ時にはカフカの言葉がよく沁みる(三十と一夜の短篇第7回) by 猫の玉三郎

あらすじ

 エイリアンの産卵のものまねをしてあごが外れた少年と、晩ご飯のメニューをかっこよくアレンジしたノート(例:聖剣エクスカリバーで刻まれし純白のTOFU)をSNSに公開された少年。胸の痛みにたえる若い彼らを、文豪カフカのネガティブな名言がそっとなぐさめる。

おんぼろ電車 by プロッター

あらすじ

 若さに甘えてフリーターを続けるうちに35歳の誕生日を迎えた光一は、大きな借金を作ってオートバイを買う。だがスピードの出しすぎで事故を起こして数日で壊してしまい、自業自得の理由により同時に職も失う。光一は絶望して自殺を企てるが、人生の最後にと昔住んだN市を訪れ、子供の頃に死んだ従姉妹マリ子との思い出があるチンチン電車に乗る。そこで彼は、車両の壁のすき間にマリ子が残したメモ書きの紙片を見つける。

蝶が選ぶ鼻 by プロッター

あらすじ

 女子高生の裕子がうたた寝から目を覚ますと、何と自分の鼻の上でちょうちょがさなぎになっていた。鼻のさなぎのせいで裕子はみんなからちやほやされて新聞の取材まで受ける。同級生の幸子はそれがうらやましくて、自分の鼻にもさなぎをくっつけるため博物館の温室へ出かけた。

綿の木 by ハインリッヒ富岡

あらすじ

 地面に生える綿の木はある日、自由に海を泳ぐ魚になりたいと思いました。でも魚は犬になって陸地を歩きたいと思っており、犬は鳥に、鳥はライオンに、ライオンは人間になりたいと考えていました。そして人間は思いました。
「あー女子高生のパンツになりてー。」
 綿の木は女子高生のパンツになりました。
(一部を作品より引用)