積まれた本

ネット小説名作レビュー

ありがとう by 蒼柳 洋

ジャンル

長さ

  • 短編
  • 10,570 文字
  • 21 分ぐらいで読める

あらすじ

 東京で働く新米医師の僕は、急に死んでしまった祖父の葬儀に参列する。僕に医者になるきっかけをくれたのも、大学医学部への入学資金を快く貸してくれたのも祖父だったが、若い僕は祖父にろくに顔も見せないまま彼の死を迎えたのだった。僕は、祖父が生きているうちに「ありがとう」と言いそびれたことを後悔する。

レビュー(ネタばれ注意)

 シンプルな筋書のヒューマンドラマではあるのだが、心のこもったストーリーとすぐれた文章力があって、読みがいのある話になっている。退屈になりがちなこの手の小説を、派手なエピソードや意外性のあるプロットに頼らず、上手に書き切っているのはすごい。短い話の中で祖父との思い出が過不足なく描かれ、終わり方もきれいにまとまっている。文体もすっきりと読みやすくて好印象。私ごとだが、このブログを書いている私も同じような経験をしたことがあり、思わず話に引き込まれてしまった。

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