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ブラボー! オー、ブラボー!! by タカテン

ジャンル

長さ

  • 長編
  • 103,619 文字
  • 3 時間 27 分ぐらいで読める

あらすじ

 人間離れしたパワーを持ちながらまったく女に持てない男ブラボー・O・ブラボーは、レイパーという街を治める大商人の娘イミアと出会って一目惚れする。彼はモンスターの大軍に襲われているというレイパーの街を救うことをイミアに約束し、従者の美少女魔法使いオルノア、ライバルの戦闘狂王子エイメンにイミアを加えた3人とともに、世界の地下に広がる大迷宮を通って、レイパーの街へ向かう。

レビュー(ネタばれ注意)

 読みやすくておもしろい王道のライトノベル。ライトな文章ながら、意外性のあるしっかりしたストーリーが用意されていて読みごたえも十分だ。

 この小説の特徴はとにかく文章の勢いがいいことだが、勢いがありながらも話がちゃんと作られていて、順調に進むストーリーをストレスなく楽しむことができた。そのストーリーの中でも特におもしろかったのは、主人公のブラボーが「混沌の凶戦士(災厄人)」であることが明かされる所だ。混沌の凶戦士というのは、七日間で世界をで火の海に変えたとか一晩で1つの国を滅ぼしたとか言われ、風の谷のナウシカにでも出て来そうな、恐ろしい存在だということになっている。主人公ブラボーの正体が敵であるはずの混沌の凶戦士だというのはすごくおもしろい設定だが、勘のいい読者ならばそのことを見破ってしまうかもしれない。そうならないように本作では、混沌の凶戦士をブラボーのイメージからはかけ離れた存在として紹介したり、「誰がモンスターなんかを嫁にするかよっ!」とブラボーに言わせてみたりという予防線を張っている。私は完全に作者の思う壺にはまってしまって、ブラボーが混沌の凶戦士だということに最後まで気づかず、知った時はびっくりした。ブラボーがまったく女にもてない理由も、そのこととからめて説明されていて、よく考えてあるなあと思った。とはいえ

リゾッタはブラボーの魂が輝き出すのを見た。
 なんだと訝しんでいると、その輝きはますます増していく。

「なんじゃ!? ホントに一体なんなんじゃ、おぬしは!? こんな輝きを放つ者など、わらわは見たことが……ま、まさか!?」

 ついにリゾッタは目が開けていられなくなった。
 が、それゆえにブラボーの正体にようやく辿り着けた。

というように、ブラボーの正体をほのめかす出来事を書いているのは著者のフェアーなところであり、しっかり読んでいる読者ならば、やはりそのことに気づくチャンスはありそうだ。
 また、私はブラボーの人間離れした強さや、女好きの彼が従者の美少女オルノアの興味を示さないことに不自然を感じていたが、これもブラボーとオルノアの正体が人間ではないことが分かった時に納得した。ブラボーのライバル、エイメンの強さが人間離れしている問題は残るが、彼は封印を解いたブラボーほど強くはない。

 次なる見所は主人公のブラボーをはじめとする登場人物の魅力にある。ブラボーはがさつで子供っぽいところもあるが、裏表のない気持ちのいい男だ。女好きであるにもかかわらず、惚れた相手に対してむちゃくちゃ一途でもある。失恋したブラボーがヒロインのイミアのために恋敵であるエイメンを助けに行くところなんかはとてもかっこよかった。従者のオルノアも
いえ、ブラボー様はこう見えて結構優しい方ですよ。ちょっとアレなのでそう見えないかもしれませんが
 と彼を評価している。ちなみに、私はオルノアのせりふの中ではこれが一番好きだ。彼女がこれを言ったのはブラボーの恋を応援するためであり、こうやってさりげなく主人を助けるオルノアはブラボーと並んで私の好きな登場人物だ。また、ブラボーがイミアにふられたと思い込んだ時には
ブラボー様、どうか元気を出してください。きっとこの世界のどこかにブラボー様を愛してくださる方がいるはずです
 と言って、オルノアは彼を励ましている。実にいい感じの主従関係だと思う。

 そのほか、ブラボーたちが圧倒的な強さで敵をやっつける戦闘シーンもおもしろいし、話のいたる所に顔を出すギャグも、読みやすい話の雰囲気を作っていてなかなかいい。
 ただ、地下の大迷宮がどういうものなのか最後まで明かされなかったことが、少し気にならないでもない。

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