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ひやかす by 駅員3

ジャンル

長さ

  • 掌編
  • 1,321 文字
  • 3 分ぐらいで読める

あらすじ

「ひやかす」という言葉は、江戸のリサイクル業社が再生紙の材料にする古紙を水で「ひやかし」ている間に、吉原の遊女をからかいに行ったところから生まれたらしい。この職人たちが作っていたのは江戸時代のトイレットペーパーであり、浅草紙と呼ばれたその紙は浅草のりの名前と関係があるとも言われる。

レビュー(ネタばれ注意)

 「へぇ〜そうなんや」という感じの雑学がおもしろいエッセイ。「ひやかす」という言葉の興味深い由来が1300文字程度で紹介されていて、さくっと楽しく読める。

 エッセイの主な内容はこうだ。江戸の社会では、浅草を中心に古紙を集めて再生紙を作るリサイクルが行われていた。材料の古紙ははじめに川の水で「ひやか」される。古紙をひやかしている間職人たちは特にやることがないので、吉原遊廓の遊女たちをからかいに行った。これが、買う気がないのに商品を物色することを意味する「ひやかす」の語源だという。言われてみたら確かに吉原は浅草のそばにある。
「そうなんや。おもしろいやん!」
 と私は思ったのだが、みなさんはどうだろうか。

 このエッセイではまた、「ひやかす」のエピソードを中心に、それと関係のあるほかの雑学をいくつか紹介している。東京山谷の地名「紙洗橋」は江戸時代に古紙を「ひやかした」場所の名であり、そうして作られた紙は「浅草紙」と呼ばれてトイレットペーパーとして使われ、浅草海苔の名前も浅草紙の製法を取り入れたことに由来するという説がある。一々「なるほど」と思わされた。(ちょっと海苔が食べづらくなるけど。)

 著者の駅員3さんは東京の地名にかかわるエッセイを、他にもたくさんカクヨムに投稿なさっている。銀座のそばの地名空白地帯の話など、関西人の私が読んでもなかなかおもしろい。東京に住んでいる人が読んだらもっとおもしろいんじゃないだろうか。

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