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魔法少女テトラミノコン by 午前深夜

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あらすじ

 小学5年生の佐藤トカミは、魔法少女テトラミノコンに変身して世間の悪をやっつける。しかし、お供の精霊獣マルイが遊ぶ金ほしさに魔法の杖を売り払ったせいで変身したまま元に戻れなくなり、水商売に身を落とす。

レビュー(ネタばれ注意)

 先行きの予測を許さない、破格のファンタジーコメディ。どろどろした現実と魔法少女のギャップもおもしろい。

 冒頭で、小学5年生の佐藤トカミは魔法少女テトラミノコンに変身し、悪魔王ダリースを退治する。魔法少女なのに「大人の出来るオンナ」だったり、ダリースの目的がサラリーマンの仕事をさぼらせて一緒に海をながめることだったりするのがすでに少しおかしいが、ここまではまだストーリーが常識の範疇にあると言える。ダリースをやっつけたところからが本番だ。
 変身を解くために、テトラミノコンがお供の精霊獣マルイに変身の杖を貸してくれと頼むと
すまないトカミ。変身の杖はもう無いんだ…
 とマルイは答える。その理由が
君が戦っている間に売ったんだ。遊ぶ金が欲しかったんだ!
 である。これには笑った。とんでもない精霊もあったもんだ。そもそも戦っている間によくそんな時間があったね。

 元に戻れないまま半年がたち、魔法少女テトラミノコンはなぜか水商売の世界で働いている。そしてなぜか、敵であったダリースの保護を受けて生活している。変身の杖を買い戻すために彼女は金を稼いでいるのだが、精霊獣のマルイに稼ぎを渡すといつも酒とギャンブルに消えてしまうという。精霊にも色んなタイプがいるらしい。
君は…!君はいつまであのクズを信じているつもりだ!!?
 とダリースはたずねるが
だって、私が信じてあげなきゃ、マルイはひとりぼっちになっちゃうもの…
 と彼女は言う。ファンタジーかと思ったら、江國香織の恋愛小説みたいな話だった。
 だが、すぐに金を使い込んでしまうマルイに彼女があえて金を渡すのには、隠された訳があった。

「わかっては…いるんです。
でも、でも、お金が溜まったら、私は小学生に戻らないといけない…!
ダリースさんと敵同士になってまた戦わなきゃいけない…!!」

「トカミ…君はまさか…」

「今がいいんです。抱いてもらえなくても、こうしてダリースさんとお話できるだけで、私はもう充分幸せなんです…」

「歪んでいるよ…」

 これも笑った。彼女の愛もゆがんでいるが、それ以上に小説のストーリーがゆがんでいる。
 でも、突如現れた正義のヒーロー、マッスグマンに150万円の現金を積まれたことで、テトラミノコンはダリースへの想いを断ち切り、変身前の少女に戻るめどがつく。よこしまな精霊獣マルイは強制地下労働施設にぶち込まれ、二度と生きて太陽の光を浴びることはないそうだ。めでたしめでたし。

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